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還暦の陰鬱な側面 [還暦デビュー雑感]

確かにこれまで自分自身が還暦を経た同世代だったために、還暦を経た者をまるで代弁するかのような口調で語って来たかも知れない。そしてそれは時には還暦者(という言葉を仮に使わせてもらう)を美化して説明していたかも知れない。ある本を読んでいてそんな自分の還暦者の捉え方に欠陥を感じた。
還暦を過ぎて年季の入った高齢者だからといって、そんなに高邁な精神を持っているわけではない。場合によっては若い人たちには考えられない様な愚かで醜い面も持ち合わせている事だってある。人間性の問題は年齢とは関係ないというのが本当のところでしょうね。
ある本の中には高齢者の引き起こす事件や過ちの数々がルポされていたのだが、私なりの感想を言えば「年甲斐もない」というのが事件の共通した要素だった。過分に強がった傍若無人な素振り、過剰な妄想と欲情に駆られた遅すぎた性的衝動…若かった頃の後悔をいま爆発させている姿が目についた。これも単に時代の様相の一種なのでしょうか、人というものは生きている世の中の環境によってどんどん変わるものの様に思えます。

考えてみれば自分が歳を取って並んでしまったせいか、周囲にあまり感心できる年寄りが居なくなってしまった気がする。ちょっとした仕草や心遣いが「さすが年の功」とでも言いたくなるような吾人が昔は居たものだった。そういった人を見るたびに年配の人が生きている意味というものを何となく感じていたものだった。何が変わったのだろう?どうなってしまったのだろう?戦後教育で育った事もひとつの原因なのだろうか…?
自由に自己主張が出来るようになった(と思い込んで)権利や欲望を追及してきたつもりの日々が得てきたものは、身の丈知らずのアクセルを吹かした暴走だった。若かった頃に純粋な気持ちで求めた理想は世の中で生きてゆく内に色褪せたものになってしまっていた。それはある意味で当然の事で、そうやって変質してゆく事が自然の成り行きとも言えるだろう。ただ愚かな事はその変質を理解出来ず、時には過去に戻ろうとする錯覚が起こる事なのだ。確かに世の中は変わり、過去の自分は既に変質した何ものでも無い事を潔く知るべきだろうと思う。それを知った上で、新たな生き方を模索すべきなのだろう。それが今の時代の還暦の生き様のようにも思える。

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還暦を経た高齢者の持つ陰鬱な側面を直視して、それを越えてゆく中に次の命の扉が見えて来るだろう…。驕る勿れ。

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