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榎本武揚・考 その3 [還暦の荒野をめざして]

まず最初にお断りしておかなければならないのは、ここで語られる「榎本武揚」は私の偶像である。史実はもっと違っているかも知れないが、私にとって「榎本武揚」は没落の侍武士たちを率いて新天地をめざした誇らしげな人物である。幕末のヒーローとして私が若かったころ興味があったのは坂本龍馬であったが、四十代に差しかかった頃に榎本武揚という人物を知った。そして歳を取るごとにそれは興味深い関心事に変わっていった。
徳川幕府の崩壊と明治新政府の誕生は江戸城に仕える侍たちを浪人にしてしまう一大事だった。今で言うなら一流企業のサラリーマンがリストラで総失業する状況だろう。榎本武揚は生き場を失った侍たちに鼓舞しながら新天地・蝦夷開墾の夢を掲げて函館に渡った。
結局、戊辰戦争で勝利を得た新政府軍に追われて新選組・土方歳三と共に最後の徳川武士たちは箱館戦争で五稜郭にて散ってゆくのだが、明治新政府の黒田清隆にその慧眼と人間性を買われて自刃を止められた榎本武揚は新政府の元で夢であった蝦夷開拓の指揮を執るようになった。

夢や理想と云うものは時には形を変えて実現する事もある様だ。この武揚の場合でもまさか自分が新政府の一員となって北海道開拓のミッションを担うとは思ってもみなかっただろう。もしも彼が飽くまでも幕閣としての仁義を貫きたいと考えていたら、北の新天地への夢は実現しなかった。

榎本武揚写真C.jpg

幕末・維新の時代は傑出した英雄たちが理想を掲げて生き切った時代でもあった。世の中を良い方向に変えて行こうとする若者が時代の原動力となっている様相で、実際にはその裏で相変わらず利権を守ろうと腐心する老獪な保守権力が黒幕として操る姿も見え隠れはするが、それでもひとときの夢を見させてくれる純粋な若い力の台頭を感じさせてくれる時代でもあった。
そんな新しい価値観をめざしている時代の中で、朽ちてゆく者たちの行き場を考え北海道開拓に夢を掲げようとしていた榎本武揚の義侠心に、私は今の時代の為政者が忘れている何かを見い出している。

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今を生きる力 [徒然随筆]

何かを書くと愚痴になりがちである。性格からくるものか歳からくるものか分からないが、時代から振り落とされそうな自分を「用無し」とかたずけてしまいそうで、それが愚痴っぽくなる理由の様だ。
新しく就いた仕事はなかなかハードで、高齢者の私には能力の限界の様な気もして“これが最後の仕事だ”という気持ちで半年の任務期間を乗り越えようと思っている。あまりマイナス思考になると気が挫けてしまうのであまり深く考えず体に仕事を覚え込ませて無の境地で働くように努めている。…とは言っても、頭をしっかり使う仕事なので「無」には成りきれませんけどね。

やはりこの歳になると「今を生きる力」というものが必要になると思える。ここで言う今を生きる力とは体力や精神力も勿論なのだが、ものの考え方に繋がる「人間力」の事でもある。高齢者になればますますこの「人間力」が試され必要になって来る。
上手くリタイアしていない限り、高齢者になれば社会基準の能力査定からダメ出しされて惨めな気持ちを背負って生きる場面が多くなる。そんな時に周りの空気に負けずに生き抜くためには「堂々たる人間力」が必要になって来るように思う。

イラスト'78tokyo_0A.jpg

「人間力」とは決して見栄を張ったり居直ったり気丈夫に振る舞ったりすることではなくて、自分の身の丈の信念を持つことである。堂々と生きる様を自分の中にイメージしてそれに沿って、それと付き合って生きる事でもある。
様々な世の中の評価に心傾けることはやめて自分の中に“世界”を築くことが今を生きる活力になる。

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