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還暦の猫 その12「老猫ミカン 任侠を語る」 [還暦猫ミカン]

この家に棲みついて早17年、還暦猫のワシも人間に換算すると84歳にニャるらしい。どうりで近頃衰えを痛感するようにニャったわい。ご主人も最近は出不精になって家の中でゴロゴロしている事が多い。二、三年前は精力的に絵を描いている姿を見たが、そう言えば最近はあまり絵を描いている様子もないニャア。そもそもワシにはなんで絵なんぞを描いているのか分からないので、描いていてもいなくても違いなんぞは無いのだが。

老猫その1.jpg

ところでこの前、ヤクザを生業にしているという輩がご主人のところに来て世間話をしていた。このヤクザというやつがワシには不可解なものに見える。ヤクザを名乗って看板を揚げ生業をやっている輩がいるがどうやらそれは違うらしい。言葉だけ聞けば一見カタギと同じ様に生活をして微笑ましく聞こえるが、それはヤクザの本筋とは違っているんだニャア。
我々猫族の世界でも“ヤサグレ”というノラ猫とはまた違った輩がいるが、そんなヤサグレ達は自分のテリトリーをわきまえて決してワシたちの餌場を荒らしに来たりはしない。それが“ヤサグレ道”というやつなんだとワシらも認めて共存している。
しかし、ヒト世界のヤクザというのは最近は見栄も体裁もなくなってカタギの生活圏に顔を出すようになったらしい。“半グレ”という愚連隊風の似非ヤクザが横行しているのでヤクザ者と一把
ひと絡げにするのは間違いなのだが、それにしてもヤクザのイメージが失墜しているようだニャア。そう言えば先日ご主人もぼやいていた。30年程前まではまだ任侠道を掲げる組があったけれど、最近ではあまり聞こえてこないらしい。組の事務所に掲げられている「任侠」の額も体裁ばかりで、いつだったかメルカリで売りに出されていたような話も聞いた。ワシも猫ながら人間社会の凋落に心配してしまうニャ。
建前ばかりの人間社会で、せめて超法規なヤクザの生き様だけでも守ってほしい気がしている今日この頃のワシなのである。

うめぐさキモノミカン.jpg

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コメント 4

いっぷく

ピカレスクロマンなどといわれますが、昔のヤクザの話はしばしば書籍や漫画、さらには映画になりましたね。
by いっぷく (2020-03-14 16:39) 

扶侶夢

>いっぷくさん、ご来訪&コメント有難うございます。
同じヤクザの物語にしても、例えば東映のヤクザ映画で言えば、鶴田浩二や高倉健あたりの任侠路線から深作欣二「仁義なき戦い」の暴力団色の濃いものまで幅は広くなりましたね。'70年代に「ゴッド・ファーザー」のヒットによるマフィア・ブームが日本にも起こって、すっかりヤクザは西洋化されてしまいました。
「ピカレスクロマン」も今ではノスタルジックな響きがありますが、ある意味で男性の願望として復権を願って静かに生き続けているのでしょう。
by 扶侶夢 (2020-03-15 17:14) 

ぼんぼちぼちぼち

えーっ?!「任侠」の額がメルカリで?!
マジでやすか?!
by ぼんぼちぼちぼち (2020-03-21 20:23) 

扶侶夢

>ぼんぼちぼちぼちさん、ご来訪&コメント有難うございます。
^^;ゞ メルカリと云うのは今様な語呂が良いので使いましたが…実際にはYahoo! のオークションでは出されたそうですよ。
by 扶侶夢 (2020-03-22 12:17) 

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