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夢は荒野を駆け巡る [還暦の荒野をめざして]

芭蕉のことを考えていた。“伊賀の忍者説”というのもあって真偽のほどは分からないが、人生を旅することに捧げて野ざらしを覚悟し、晩年に於いて詠んだ「旅に病んで夢は枯野をかけめぐる」という俳句には心打たれるものがある。
一種の表現者として人生を全うする姿は、真似る事は難しいが共感するところがある。何かひとつのことに信念を傾けて取り組み全うする、そういった生き方に残りの時間が少なくなった私には惹かれるものがある。最後まで一線に在り続けることは難しいが、生涯現役で生きる気概は持つことが出来る。

還暦の意味、還暦後の生き方、この数年はそういったことを考えてきた。そして「下山の思想」とか「ネガティブ・ケイパビリティ」とか「新次元からの視点」とか、様々な思索を重ねて来たが、もうひとつの考えを持つに至った。
それは、生命の灯が燃え続ける限り夢を照らし続けるという事である。その夢が幻想であるか錯覚であるか疑う事は人生の真意ではない。一生叶わぬ夢であっても信念を持って求め続ける事がその人の誠の心意気だろう。
臨終の際に於いても明日を夢見て生命の灯が消えゆくのを感じ続ける…「夢は荒野を駆け巡る」そんな言葉を遥か時代を越えた芭蕉の生き方に重ね合わせた。

夢は荒野を駆巡る.jpg

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