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還暦を経たからこそ考えられること。 [還暦デビュー雑感]

頭に浮かんだ言葉がある。「青春の蹉跌~還暦の再興」
「青春の蹉跌」というのは映画にもなった石川達三のベストセラー小説のタイトルなのだが私はこの言葉が気に入っているせいもあって文言表現のコンセプトに使うことがあった。何の間違いも犯さず人生を生きて来れた人なんていないと思うけれど、自分の愚かさとどう向き合って来たかという事はあまり考えない人が多いように思える。言わば“愚かさの自己認識”というやつなのだが、あまり建設的なイメージが無いので大方は控えているというより意識にも上がって来ないのだろう。
これまで気づいてこなかった事、気づかない振りをしてフタをして来た事それらを解放することは(勇気がいる事なのかも知れないが)還暦を経て失うことなど何もないと思える気分になった者こそが出来ることのように思える。そういう視点で考えれば高齢者と言えどもまだこれから充分にやれる事は残っている筈だ。“高齢者にも頑張ってもらおう”という様な行政の都合に急かされるものでなく、自己の内から生まれる意欲なら乗っかっても良いのではないかと思っている。

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『SDGs』(持続可能な開発目標)という国連の採択したコンセプトテーマを知って、これが本気の発想なら世の中は良くなる可能性を持っていると思った。今までにない新しい概念だからだ。こういった新しい概念と指針は老若男女、高齢者と若い世代が協力し合って築く気持ちが無ければ確立出来るものではないと思える。現在の様な高齢者にとって生きにくいと言われる社会状況を生み出したのは、今の若い人たちではなくかつての若者だった今の高齢者と云われる人たち自身が作った基盤の上に成り立っている事を知らなければならない。若者たちも高齢者排除の社会を作ってしまえば、いずれ自分たちが高齢者になった時にそのしわ寄せを受ける事になる。
高齢者としては、基本的に自分の事だけを考えるなら世間からリタイアしてなるべく関わり合いを持たずに生きる方が気楽だろうと思うが、そんなに都合良くはいかないだろう。これから世の中にどのような風が吹くかは分からないが、これまでに老人と呼ばれる高齢者が満足に受け入れられた時代は無かった様に思う。

開陽丸_A.jpg
 ↑ 行き場のない幕閣の有志を乗せて“脱走艦隊”とも異名をとった『開陽丸』

時代の流れで江戸幕府が崩壊して明治政府に移行した頃に幕府の多くの家来たちは行き場を無くして右往左往した。その時に彼らに新天地の開発を呼びかけたのが幕府高官の榎本武揚だった。旧時代の価値観が激変し崩れた時に生き直すには、新体制に順応するか別の新天地を開拓するふた通りがあり、新政府から無用の長物とされ削除された武士たちは自分たちの価値を認められる開拓地をめざすしかなかった。

こんな話を持ち出したのは現代の高齢者の立場がまるで幕末の徳川家来の様に思えたからだ。そして行く先の見え難くなった高齢者こそ、還暦の視点、つまり人生を一巡して輪廻の流れに入った境地で新しい世界に顔を向ける、生き方の模索をした方が先が見えるのではないかと考える。

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ぼんぼちぼちぼち

青春の蹉跌、名作でやすよね。
映画化もされやしたね。
映画のほうも原作に負けず劣らずの出来でやしたね。
by ぼんぼちぼちぼち (2019-05-26 22:19) 

扶侶夢

>ぼんぼちぼちぼち さん、ご来訪&コメント有難うございます。
「青春の蹉跌」を名作と評価してくれる人を知ると我が事のように嬉しくなっちゃいます ^^)おまけに映画も負けず劣らずで同感同感!
by 扶侶夢 (2019-05-27 16:51) 

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