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詩を書く [徒然随筆]

還暦を経て早8年が過ぎた。この歳だからこそ表現のひとつとして “詩もどき” を書く事が適しているのかも知れないと思った。
小説や随筆に心惹かれるが、浮かんでは消える散文的な構成こそが老いた私の頭には適しているかも知れない。


【永遠のひと時】

紫セロファンに包まれた思い出は
幼い頃の走馬燈。
サロンパスと蚊取線香の匂いが
屋根裏部屋を思い出す。
脳裏のネガフィルムが幻灯機に映しだされる。

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榎本武揚・考 その3 [還暦の荒野をめざして]

まず最初にお断りしておかなければならないのは、ここで語られる「榎本武揚」は私の偶像である。史実はもっと違っているかも知れないが、私にとって「榎本武揚」は没落の侍武士たちを率いて新天地をめざした誇らしげな人物である。幕末のヒーローとして私が若かったころ興味があったのは坂本龍馬であったが、四十代に差しかかった頃に榎本武揚という人物を知った。そして歳を取るごとにそれは興味深い関心事に変わっていった。
徳川幕府の崩壊と明治新政府の誕生は江戸城に仕える侍たちを浪人にしてしまう一大事だった。今で言うなら一流企業のサラリーマンがリストラで総失業する状況だろう。榎本武揚は生き場を失った侍たちに鼓舞しながら新天地・蝦夷開墾の夢を掲げて函館に渡った。
結局、戊辰戦争で勝利を得た新政府軍に追われて新選組・土方歳三と共に最後の徳川武士たちは箱館戦争で五稜郭にて散ってゆくのだが、明治新政府の黒田清隆にその慧眼と人間性を買われて自刃を止められた榎本武揚は新政府の元で夢であった蝦夷開拓の指揮を執るようになった。

夢や理想と云うものは時には形を変えて実現する事もある様だ。この武揚の場合でもまさか自分が新政府の一員となって北海道開拓のミッションを担うとは思ってもみなかっただろう。もしも彼が飽くまでも幕閣としての仁義を貫きたいと考えていたら、北の新天地への夢は実現しなかった。

榎本武揚写真C.jpg

幕末・維新の時代は傑出した英雄たちが理想を掲げて生き切った時代でもあった。世の中を良い方向に変えて行こうとする若者が時代の原動力となっている様相で、実際にはその裏で相変わらず利権を守ろうと腐心する老獪な保守権力が黒幕として操る姿も見え隠れはするが、それでもひとときの夢を見させてくれる純粋な若い力の台頭を感じさせてくれる時代でもあった。
そんな新しい価値観をめざしている時代の中で、朽ちてゆく者たちの行き場を考え北海道開拓に夢を掲げようとしていた榎本武揚の義侠心に、私は今の時代の為政者が忘れている何かを見い出している。

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